【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「わたしから!響くんを取らないで!!」
そう叫ぶ女にも目もくれず男は黙々とロープを解く
すると女はもう片方の腕にナイフを当てる
その様子をみて身体が震える
手首から血が吹き出す光景を思い出す
男は震えだしたのに気づいたのか、女をチラリとみて、俺の視界を塞ぐように立つ
「女に手は出せない。でも、勝手に死ぬ分には別に構わない」
好きにしろ
そう言ってまた俺の方を向きロープをほどく
……不器用なのか?
なかなかロープが解けない男は、少しイライラしていた
固いなと呟く
多分そこ引っ張るんじゃないかと…
そう思っていたら、部屋に違う男が5人ほど入ってくる
「椿さん!大丈夫ですか?」
…あの女の仲間か。俺を殴った男たちだ
どうしよう。そう思ったけど心配なんていらなかった
「ちょっと待ってろよ」
そう言い俺から男は離れる
そして、言った通り、ちょっとで終わる
床には5人男が伸びている。
何があった?見えなかった。一瞬で男を倒してこっちに戻ってきたのは
きらきら光る金髪のかっこいい男だった