【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

黙ったまま歩き続けて、ある家にたどり着き、泉は鍵を開ける

中をぐるりとみると、汚い


「朔と響と住んでる場所だ。最近ここに居ないから、荒れてる」


朔と響が荒らしてるのは想像つく。1つの部屋に通されると、その部屋だけは綺麗だった。
泉の部屋だろうな



「落ち着いて聞けるか?俺のこと信用できるか?」


……信用はしてるよ
でも、この事に関して優しくせんといてほしい
泉を巻き込みたくないだけ




「スコーピオンって聞いたのは、杏がバイトの帰り道に黒蛇に襲われて、倒した後を俺と朔が見た時だ」


…最初やん


「どこかで聞いたことあるな?と思って新に聞いたら、西の荒れていたチームの名前だとわかった。俺たちは警察に仲良いやつがいて、そいつがこの春にスコーピオンのせいで忙しいとボヤいていたんだ」



あたしが引っ越してくる前に、既にスコーピオンの噂はこっちであったってこと?

なんや?
あたしが後を追ってきてしまったん?



「それでこの前の抗争で、B区の廃墟に行った時、変な部屋を見つけて…そこに、これがあった」


泉は机の引き出しを開けて何かを取り出す


その写真はあたしの背筋を凍らせた
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