【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「なぁ、それってさ、泉の期限早まったりせーへん?あたしもさ、詳しいねん、そういう事に。何年も帰ってへんにゃろ?絶対条件付きでしか、情報はくれへんやろ」
等価交換
これがヤクザの決まりや
泉がこんなに話してくれてるのに、あたしが話さへんのは、割りに合わへんな
「あたし、東堂財閥、東堂組の娘やねん」
そう。あたし日本で3本の指に入ると言われている財閥の娘。
そして、その裏で大きな力を動かすために、組が存在している
目の前の泉は、目を丸くして、え?とつぶやいていた
「峰岸は、母親の旧姓。この2年は東堂の名前を捨てて、生きたかった。2年後あたしは、東堂財閥の令嬢として、決められた奴と結婚して、東堂財閥と東堂組の経営をする」
そう
久しぶりに言葉にすると、重くのしかかる
財力も権力もいらん
「ほんまは、妹が継ぐはずやってん。あたしは母親に嫌われてたし、妹も継ぎたいって言ってたから、一石二鳥でさ」
あの事件が起こるまでは、あたしは東堂の名を語ることもなく、旧姓で過ごしていた。
あの時までは…