【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
俺の話を黙って聞いていた杏は、重々しく口を開いた。


「なぁ、それってさ、泉の期限早まったりせーへん?あたしもさ、詳しいねん、そういう事に。何年も帰ってへんにゃろ?絶対条件付きでしか、情報はくれへんやろ」


その後に、等価交換やろ?と悲しく笑った


なぜ…杏が詳しいのか。等価交換と分かっているのか…ドクドクと心臓が早まる



そして俺の目をしっかりみて杏は教えてくれた


「あたし、東堂財閥、東堂組の娘やねん」


東堂財閥。それを知らないものは日本には居ない。関西で1番の大きな財力と権力を持つ財閥だ。

政界をも動かすと言われているその権力は、財閥の裏で活動する、東堂組の力の源である。



まさか、その東堂財閥の娘だなんて



2年後には決められた奴と結婚して東堂財閥と東堂組の経営を学びながらすると。

ただの子では無いと思ったのに、ここまでだとは…

しかし長女の杏ではなく、本来は妹が継ぐ事になっていたと。

誰もが羨む程の財力と権力を持ち合わせているのに、目の前にいるのはただの女の子だ

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