【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
そして杏は話してくれた


妹は愛想が良くて、財閥令嬢としての自覚もあったし、そういうパーティにも率先して足を運んでいたと


「お手伝いさんとかおってんけどな?東堂の周りにいる人たちは皆、東堂やから、側におってん。誰もあたし達のこと好きじゃない。財力と権力があるから、皆優しかってん」


力があるものに媚びるのは、いつの時代もそうだ



「あたしは、家が大嫌いやった。あたしの母親は、妹が大好きで、あたしなんか全く見向きもせんかった。やし、好き勝手してても何も言われへんかってん」


杏は部屋のベッドの淵に頭をのせて、天井をぼーっと眺めながら話す



「泉と似てるな。あたしも、ほんまにあたしの事を好いてくれる人たちと一緒に居たくて。それでチームを作った」


え…?チームを作った?杏が?



「薔薇(ローズ)って知らん?あのチームあたしが作ってん。大好きなあたしの場所」



にこりと可愛く笑う杏。薔薇…知らない訳がない



「関西NO.1チームの、薔薇を、杏が作ったのか?」

声が震える
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