【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「俺は…自分の組みを終わらせようとしてる」
「え?」
顔を上げて俺を見る杏は戸惑いの表情
そうだよな。自分の親が作ってきた組を、いくらやりたくないからといって、息子の俺が終わらせるのはおかしいかもしれない
でも
「どんどん組の経営は悪化していて、ダメなことに手を出そうとしている」
そう。俺の親父は、経営が傾くにつれて、やばいものに手を出し始めた。いつ殺されてもおかしくない。
俺は、親父を止めたい
こんな組ならいらないと言って家を出たのは3年前。
「俺は、親父を引退させて、組を解散させる。それが俺の2年後のミッションだ」
「泉…ほんまに強いな」
「組の中でも、着いていけないと思う人達は多くて、俺はその人達に声をかけている。絶対に俺は後は継がないし、それに…決められた運命なんていらない」
たとえそこに、財力や権利があっても
「杏は?」
「え?」
「杏は、その決められた道を受け入れてるのか?」
抗えよ。どんなに財力や権利があっても、俺たちは1人の人間なんだから