【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
もうやめて下さい。そう言っても小さな拳を机にぶつけていた。
不甲斐なさがあふれたのだろう
あたしが皆んなにスコーピオンのこと言ったからや。あたしのせいや
そう泣いた
鈴様のことも、薔薇のことも、1人で責任を負ってしまった
薔薇の皆んなが杏のせいだなんて言うわけないのに。考えれば分かるのに。杏は自分を責めて、薔薇を解散させた
そして戻らない鈴様を嘆く蘭様のためと、東堂財閥の今後のことを思い
東堂 杏 という存在をこの世から消した
止めることも、守ることもできなかった
だから俺は、執事として…
杏様の側で支えて、重荷を少しでも分けてもらおうと思った
でも、俺は諦めが悪いから
杏が犠牲になる必要はないと思ってるから
スコーピオンは俺の手で仕留める
もう杏の手が血で染まらないように
その覚悟はできている
たとえ杏様に嫌われても…
もう側に居るなと言われても…
杏様のためなら、私は…
この手を血に染めることができる