【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

馬鹿でかいサイズのベッドにあがる

もちろん志木も一緒に…
いい年の男女が、ベッドの上で…ってアカンのは分かってるけど…志木やしな


「杏、おいで」

「あんた寝ぼけてんにゃろ?しばくで」

「寝ぼけてない。杏に触りたい」

「はぁ…勝手にゆうとき。あたし寝るし」


志木に背を向けて寝転ぶ
その後ろで志木はいつも通り呟く



「杏…愛してる」



はぁ…変わらへんな


志木はこうやって眠るとき、よくあたしの名を読んでいた。だからあたしは知ってたんや


志木があたしを好きでいてくれることを


それをあたしは何年も知ってるくせに、知らん振りをしている

最低よな

でも志木はあたしにとって家族やから。その真実を告げられて、拒否した時に、家族の関係が壊れるのが怖い


だからあたしは、この先もずっと

決められたどこかの誰かと結婚してからもずっと




志木の気持ちは知らんぷりする




きっと志木もそれを望んでるから



こうやって一緒に寝て手を出されたことは一度もない。寝ぼけてる志木の愛の告白聞いてるだけ
< 249 / 425 >

この作品をシェア

pagetop