【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
馬鹿でかいサイズのベッドにあがる
もちろん志木も一緒に…
いい年の男女が、ベッドの上で…ってアカンのは分かってるけど…志木やしな
「杏、おいで」
「あんた寝ぼけてんにゃろ?しばくで」
「寝ぼけてない。杏に触りたい」
「はぁ…勝手にゆうとき。あたし寝るし」
志木に背を向けて寝転ぶ
その後ろで志木はいつも通り呟く
「杏…愛してる」
はぁ…変わらへんな
志木はこうやって眠るとき、よくあたしの名を読んでいた。だからあたしは知ってたんや
志木があたしを好きでいてくれることを
それをあたしは何年も知ってるくせに、知らん振りをしている
最低よな
でも志木はあたしにとって家族やから。その真実を告げられて、拒否した時に、家族の関係が壊れるのが怖い
だからあたしは、この先もずっと
決められたどこかの誰かと結婚してからもずっと
志木の気持ちは知らんぷりする
きっと志木もそれを望んでるから
こうやって一緒に寝て手を出されたことは一度もない。寝ぼけてる志木の愛の告白聞いてるだけ