【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
かしこまりました。
そう言ってパッと新幹線のチケットを渡す。
さすが!
指に挟まれたチケットをありがたく頂く
早く行かな!
みのりさんからもらった煮物のタッパーを持って志木の部屋を出る
「杏様」
???
「何かあればいつでも私を頼ってください。そして、ココではなくても…また、私の元へ会いに来てくださいね」
……せやな
「ごめん、あたしの勝手で振り回して。バタバタして帰ることになってごめん。母上に呼ばれんでも、またココに戻るから……頼りにしてる」
きっと帰るまで志木はあたしと色々話したかったはずや。
でも今は…慧が心配
頼りにしてる
その言葉で志木は喜ぶ
でもあたしは、彼を縛るようでその言葉は嫌いだ
" いってらっしゃいませ "
志木の優しい声を聞いてから廊下へ出る。
見たことのない使用人や、顔見知りの使用人に出かけると声をかける
" いってらっしゃいませ、鈴様 "
はぁ
また戻る
時が来ればな