【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
それにしても生娘って言い方…


「生娘なら、紹介はできないや。俺の周りの子、全員俺と関係持ってる子ばっかりだから」


そんなに悪気はなかった

生娘は周りにいないから断らなきゃ

そう思っただけ


でも


「くそーー!お前のお下がりはいらねぇ!!!!」


頭を抱えてしゃがみこんでしまった


えっと…


戸惑っていると目の前に大きな背中が現れる

その男は音もなく目の前に降りてきて、そして綺麗な金髪の髪を揺らした


「朔、寝れねぇだろ。うるせぇ」


そう低く言った


赤髪と茶髪は同い年くらいに見えたが、最後に降りてきた男は、背は高く、ガタイも良く、何より背中が広かった



「すまない。うるさくした」



金髪は、赤髪の首根っこを掴み歩き出し、その後ろを茶髪が追う
金髪は屋上を出るときに言った



「あれくらいのビンタ避けれねぇと、苦労すっぞ」


少し口角を上げたその顔は、男の俺からしても、カッコよかった


そしてその日から屋上でよく出会うようになった。全然タイプは違うのに。その屋上での時間が俺は好きだった
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