【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
杏ちゃんは男を池田と呼んだ
まさかの知り合い?
「す、すみません!俺…俺…杏さんみたいに強くなりたくて…こっちに去年来たんですけど…いや、そんなことよりも…」
態度のデカかった男は一瞬で小さくなり、少し震えている
そして何かを言った
「杏さん、あなた死んだん「池田」
最後まで聞き取る前に、杏ちゃんが割って入る
「謝り。慧に謝って」
池田!と遮った杏ちゃんは、別人のようだったけど、謝って!そう言って俺をズイっと男と桃香ちゃんの前に出した
「礼儀のなってない奴はいらん言うたやろ!!悪いことしたら謝る。礼儀ちゃうか?あんたも!事の発端はあんたやろ!ぼーっとしてんとこっち来て謝れ」
桃香ちゃんにも喝を飛ばす
2人とも母親に叱られている子供のように小さくなってしまった
「慧?なんもされてへん?」
「うん、連れ去られるときに殴られただけ」
「は?殴ったん?お前、歯くいしばれよ!」
杏ちゃんは拳を作って男の前に行く
ダメダメダメ!別にいいよ!目には目を歯には歯を!と大声を出す杏ちゃん