【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

杏ちゃんは男を池田と呼んだ
まさかの知り合い?


「す、すみません!俺…俺…杏さんみたいに強くなりたくて…こっちに去年来たんですけど…いや、そんなことよりも…」


態度のデカかった男は一瞬で小さくなり、少し震えている

そして何かを言った



「杏さん、あなた死んだん「池田」



最後まで聞き取る前に、杏ちゃんが割って入る



「謝り。慧に謝って」



池田!と遮った杏ちゃんは、別人のようだったけど、謝って!そう言って俺をズイっと男と桃香ちゃんの前に出した


「礼儀のなってない奴はいらん言うたやろ!!悪いことしたら謝る。礼儀ちゃうか?あんたも!事の発端はあんたやろ!ぼーっとしてんとこっち来て謝れ」


桃香ちゃんにも喝を飛ばす

2人とも母親に叱られている子供のように小さくなってしまった


「慧?なんもされてへん?」

「うん、連れ去られるときに殴られただけ」

「は?殴ったん?お前、歯くいしばれよ!」


杏ちゃんは拳を作って男の前に行く
ダメダメダメ!別にいいよ!目には目を歯には歯を!と大声を出す杏ちゃん
< 284 / 425 >

この作品をシェア

pagetop