【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
ざわざわし出す倉庫。でも泉は総長として、楼帝からは視線を外さない
「慧、何があった?」
その一言で慧はパッと前に出て泉の隣に立つ
「おたくの、池田くんって人に殴られて拉致られたんだけど?女の子と和解して出てきたけど、下の奴らの教育がなってないんじゃないの?烈火と抗争でも始めるわけ?」
いつも優しい慧の雰囲気とは全く違う、威圧的な態度に話し方
そうや。この一つの事件で、手を出し合わなかった2つのチームがぶつかる可能性がある
これはなかなか大変なことや
「……池田ってあいつか」
向こうの総長らしき人が口を開いた。
心当たりはあるみたいやな
沈黙の後に、少しふざけた声がした
「はーーーい!じゃあ終わり!」
手をパンと鳴らしたのは向こうの総長だ。台から飛び降りて泉と慧の前に立つ
「慧、悪かった。怪我はねーか?」
「まぁね。手が痛いけど」
慧はロープの跡を見せる。それを見て朔は怒鳴っている。泉も…怒ってるな
しかし、向こうの総長は、ほんとにすまない。と頭を下げた