【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
父さんの言う犯人像は、恐怖からか、ぐちゃぐちゃだった。
派手な金髪にピアスだらけで、鬼のような顔と言っていた。
まぁ、悪い顔の金髪を探してみよう
駅からの帰り道でカツアゲされたらしいから、父さんが通る道を歩いて駅まで行く
街灯もあるが、薄暗い
もうすぐ駅!って時に何か音がした
駅から少し外れた路地から。
怖かった。でも、もし父さんだったら。そう思うと身体が自然と動いていた
そして目の前には黒髪の男が金髪に殴り飛ばされるところだった
金髪は無表情で黒髪の男を殴り、そしてタバコに火をつけた
こいつかもしれない!!!
耳にピアスもキラリと光った
こいつが父さんを!そして今も別の人からカツアゲしようとしてるのか
怖い
怖い
でも許せない!
「父さんの時計を返せ!!!」
確かそう叫んだ気がするが、アドレナリンが出すぎて詳しい記憶がないが、人生で初めて人に殴りかかった
金髪はそんな本気の俺を、まるで子供の相手をするかのように、軽く拳をいなした。
その勢いで俺は転んだ