【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「余裕やったな!」
パチンと杏ちゃんとハイタッチ!
その細い腕のどこに、あんなパワーが秘められてるのか不思議で仕方がない
ふぅ……
それに俺は少し気になることがある
何となくなんだけど…
杏ちゃんが、お金持ちなのは、あの家を見てると分かるんだけど、なんて言うのかな…
良いとこのお嬢様って感じが…たまにする
勘というか、そう感じるだけなんだけど
この前俺を助けてくれた時から少しずつ感じていたことだ。
タクシーの運転手に対しての態度だったり、ドアの閉め方から、食事の仕方、箸の持ち方から何まで
所作が綺麗だ
日頃は……
「ほれ!朔みてみぃ!!巨大バッタおったで!!」
「ばっ!!!やめろや!!!」
なんだか朔よりも子供っぽい時もあるんだけど…
んーー俺の勘違い?
何気ない行動が綺麗なんだよな
「杏さん!お茶どうぞ」
拓也からコップを受け取る
その仕草でさえ、綺麗に見える
俺、暑さでやられてるのかな?
だってさっきまで、バッタ持って走り回ってたし、そんな風には見えないんだけど
とても良い教育を受けている気がする