【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「はいはーい!選手交代や!新とあたし代わる」
ニヤリと笑っていた杏が、ゲームが終わった時に声をかける
俺は…残らなきゃいけないんだな
負け続けることが気にくわないけど、勝ち方がわからない
「烈火のお姫様が相手してくれるの?」
「お姫様?なにそれ。ほんで、選手交代してええんよな?」
赤井に杏は近づく
杏は…怒ってるのか?
少し杏が怒っているような、そんな感じがする。
「全然いいよ?まぁ次で烈火のポイント無くなりそうだけど…最後くらい運良ければいいね」
トランプをトントンと赤井が揃える。その様子を杏は睨むように見ていた
「アホいいなや?運?何言ってんの」
赤井との距離を縮める
そして杏は、赤井の襟元を掴み、顔を近づけた
俺たちに何を言ったか分からなかったが、杏は赤井の耳元で何かを言った。
赤井の余裕ありげな表情が崩れる
「さ、ほな新参者のあたしが、ディーラーやりましょか」
赤井からトランプを奪い、杏は器用にマジシャンがやるようにトランプをパラパラと広げる