【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「まぁ、杏が嫌ならいいけどな?1人で抱え込む前に言えよ?」
「ありがとう。せやな〜。東堂のゴタゴタに巻き込みたくなくてさ」
東堂はきっと一般人であろうが容赦ない
権力も財力もフル活用する
もしこれで、あたしが東堂を継がないってなって、みんながそれを知ってたら…
烈火のみんなに何か東堂がするかもしれへん
それはなってみな分からへんけど、そうなる可能性はある
「大変だなって言うと、人事に聞こえるだろうけど、俺たちにとって、杏は大事な仲間だ。どうなろうと……杏は仲間だから」
ふふ
案外泉は、2人の時やとよく喋る
優しい声で話してくれる
その後疲れているのか泉が隣の席に座りウトウトし出した。1日外いたしな?疲れたんやろな
女のあたしが嫉妬するほど、綺麗な顔で眠る泉
風が吹き泉の前髪がぱらりと顔にかかる
無意識とは怖いものだ
あたしは椅子から少し腰を浮かせて、泉の方に手をやる
もっかい言うけど無意識やってんで?
その綺麗な顔を遮る前髪をサラリと泉の耳にかける
そして少しの間眺めていた…