【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
ちょっとして我に返る
決して寝込みを襲ったわけではない!!
はぁぁ!!あたしは何てことをしてるんや!寝てる人の髪触って眺めるとか、変態やないか!!
1人で頭を抱える
破廉恥な!
勝手に動いた自分の右手を押さえつける
悪いのはこの右手か!!
1人で暴れていると、あたしも疲れてきて机に顔を伏せる
はぁ
寝れそう…
楽しかったなぁ
身体も頭も疲れていたのか、2秒くらいで眠りについた。
だから静かな教室でポツリと呟いた泉の様子も、言葉もあたしは知らない
「…今のなんだよ」
夕日が差しててよかった。顔が赤くなってるだろうから
杏のふんわりとした、優しい香りが近づいてきたのが分かった
暖かい手の温度を感じた
眠気が一気に覚めたが、動揺しすぎて目を開けれなかった
優しく髪を掻き分ける杏の細い指
そして目を閉じていても分かる
視線を感じる
顔に熱がこもるのが分かるがどうしようも出来ない。
しばらくして、杏が、はぁぁぁと声を出して離れる