【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
涙を流しながら喜ぶ杏
悲しい涙ではなく、今度は喜びの涙
杏の涙はとても綺麗だった
「みんなありがとう」
目をゴシゴシこする杏の手を抑えてハンカチを渡しておく
朔も慧も新も響も…
メンバーみんなも…
杏のことを家族だと思っている
それだけを伝えたかった
考えるのはやめよう
俺らがもっと頼りになれば、杏はきっと、頼ってくれる。杏の居場所を作ってあげるだけだ
「うわーーーん。みんなありがとうな!なんやねん急に…あたしの方が皆んなにお礼言いたいくらいやのに」
女の子は、なんて言うか…シクシク泣くイメージだったが、杏はもう…豪快に泣いている
拓也が杏の隣でティッシュケースを持っていて、そこから杏は、シュっとテッシュを取っては鼻をかみ…また取っては涙をぬぐい…
ほんと
忙しいやつ
「杏?いつでも、お前が甘えたい時は、俺らがいるから」
俺がそう言うと、俺の腕を掴んで、腕に顔をつけて笑っていた
そしてその口は、
いずみありがとう
そう動いた