【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
「んーー…」
「起きた?」
「あ、ん?」
「そーそー。杏やで。二日酔い?」
いつもよりも、ほわーとした話し方をする泉は、朔の上に足を乗せて寝転んでいる
「おーい!目開いてる?」
泉の顔の前で手をヒラヒラとするが、無反応
もうええか。家帰るか
倉庫で男たちが雑魚寝しているところで…待ってるのはちょっと暇過ぎる
立ち上がろうとしたら、パッと手首を掴まれバランスを崩す
泉の顔面に頭突きする寸前で、またグイっと引っ張られ、ポスンの腕に収まる
泉の腕の中に
……おーーーい
胸を押し返してみるが、がっつりホールドされて動けない
「ほんま誰や思って、こんなんしてんねん」
はぁ
身体を動かしても動けないから、諦める
あっつ…
「杏…」
「…?どしたん?」
「……俺じゃダメか?」
「え?」
「俺が…守るから…」
びっくりした。寝てるんかいな
急に話し出したと思ったら、寝息が聞こえる
一人でドキドキして損したわ