【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

「それ…」

そう声をかけようと思ったら、逸早く朔がおじさんに摑みかかる勢いで飛びついた

待て!そう服を掴もうと思ったが、手からすり抜ける

「なんでおっさんが杏の携帯もってんだ?あぁ?」

「ヒィィ!やめてください!私はただ拾っただけです」

すぐ朔の首根っこを掴んで後ろへ放り投げる

ゴロゴロと後ろへ転がる朔


「急にすみません。その携帯、俺の友達の物なんです。何も見ませんでした?」


おじさんの体を起こす
悪態を吐く朔をひと睨みしておく

おじさんは、オロオロとしながら話し出す


「わ、私はこのコンビニの店員でして…朝の掃除をしようとしたら、見つけただけですので…」

「掃除は何時からした?いつ見つけた?」

「え、えっと…6時半から掃除をはじめて、すぐに見つけました」


……いまが7時だから、杏はもっと早くにここにきてた?


「新!防犯カメラ見させてもらってくれ」


何か手がかりになるものが、駐車場に残されてないか?


「ぼ、防犯カメラは警察の人にしか見せれませんよ?」


許可がないと見せる事は出来ないという

そりゃそうかもしれない

でも



「杏の無事がかかってんだよ。お前これで杏に何かあって責任とれんのか?」



何が何でも見せてもらう



おじさんには悪いが…びびらして見せてくれるなら、手段は選ばない
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