【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
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「本当にこの女で間違い無いんですか?」
「……だと思うけど」
「全然抵抗しなかったと思いません?」
「すぐ薬嗅がせたからだろ」
……頭痛い
聞きなれない声と会話
「にしても、もっとゴリラみたいな女だと思ったのに…拍子抜けだな」
…ゴリラ
ゴリラって失礼な
ゴリラに見えてたといった響を思い出した
バレないように腕と足を動かしてみるが、どちらも縛られているのか動かせない
腕はなんだろう。
ひも?細いロープ?
指先を動かして素材を確かめるが…
頑張れば切れそう?
「金城さんが帰ってくるまでに、この女起こした方がいいんですかね?」
「あの薬嗅がせたんだ。当分起きないだろう。烈火の奴らの様子は?」
……薬ね
わかった瞬間に息は止めて嗅がないようにしたけど、少し嗅いでしまって気を失っていた
あまり時間は経ってないか?
「烈火はわりと早く気づいて動いてるようです」
「ふん。あいつらが東って気づくまでにどれくらい時間が稼げるかだな」