【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

響も渋々納得をして、全員が頷く


「明日から杏ちゃんは、この部屋で一人なんだね」


そう慧が呟く。
4LDKにもなるこのマンションの一室で、彼女は一人。
何故こんなところに住んでるのか、同居人は?家族は?お金はどこから?

思うところはたくさんあるが



そこはしっかりと、わきまえている


" 誰にも踏み込まれたくない境界線はある "


これは泉の発言であり、烈火の誰もが知っている言葉。
その境界線を、仲間でも無理矢理越えてはならない。

しかし、もし仲間がその境界線を越えさせてくれて話をしてくれる時には、全てをかけて、力になる。



この烈火のチームの教訓のようなもの



「……明日の朝…包帯を取り替えてもらったらこの家を出る。お前たちは、杏が起きる前に先に帰っていてほしい」


わかった
そう言い、少しの間眠る


泉を探し回り疲れたのか、みんな一瞬で眠りにつく

当の本人は額を抑えて一つ息を吐く




「助けてって言わなきゃわかんねーよ」




その言葉はいったい
誰に…

そして何故口からこぼれたのか…


誰も知らない
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