【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
チラリとこちらを見て、お前かーっとしゃがみこんだ
ふふん!そうだ!
泉は荒れてる時、一人になりたがる。
俺はいつも泉のイライラや怒りが伝染して、泉よりも荒れてしまう
泉はいつも、なんで俺よりキレてんだよ。そう笑ってくれる
だから俺が来たんだ
シッシと手で追い払われるが関係ない
「珍しく荒れてますね、総長さん」
「うるせーよ」
泉の隣に腰を下ろす。
「なぁ、何があった?あの女の家でなんかあったろ」
無言を貫く。俺のポケットからタバコを取り出し火をつける
俺はその一連の流れをぼーっとみていた
5分くらい沈黙の後、泉は話し出した
「あの子は、一人なのかもしれない」
「んー?どう言う事?」
「……わかんね。俺も。でも気づいたら手を差し伸べてた。笑ってても哀しそうだし、飯食ってんのに哀しそうだし…」
哀しそう…か
俺にはそんな風に見えなかったけど
泉がそう言うならそうなんだろうな
「で、差し伸べた手はどうされた訳?」