【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

チラリとこちらを見て、お前かーっとしゃがみこんだ

ふふん!そうだ!
泉は荒れてる時、一人になりたがる。
俺はいつも泉のイライラや怒りが伝染して、泉よりも荒れてしまう

泉はいつも、なんで俺よりキレてんだよ。そう笑ってくれる


だから俺が来たんだ


シッシと手で追い払われるが関係ない


「珍しく荒れてますね、総長さん」

「うるせーよ」


泉の隣に腰を下ろす。


「なぁ、何があった?あの女の家でなんかあったろ」


無言を貫く。俺のポケットからタバコを取り出し火をつける

俺はその一連の流れをぼーっとみていた


5分くらい沈黙の後、泉は話し出した



「あの子は、一人なのかもしれない」

「んー?どう言う事?」

「……わかんね。俺も。でも気づいたら手を差し伸べてた。笑ってても哀しそうだし、飯食ってんのに哀しそうだし…」



哀しそう…か
俺にはそんな風に見えなかったけど
泉がそう言うならそうなんだろうな



「で、差し伸べた手はどうされた訳?」


< 72 / 425 >

この作品をシェア

pagetop