【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
ふーーと長く煙を吐き、空を仰ぐ
「拒絶されたよ」
だから、そんなに機嫌悪かったのか。
誰もが近づきたくてしょうがない烈火の総長を拒絶かー。
他の女なら喜んで手を取るだろうな
「俺なんで、あんなこと言ったんだろ」
「さー?たまに不思議ちゃんが入るからな、俺らの総長は」
「……まぁ今回の抗争に巻き込まれてないなら、もう…会わないから…。俺と杏が一緒に居るところが見られてさえいなければ、もうこの件は終わる。
そう思ってたのに」
……まさか、同じ学校でクラスまで一緒だなんてってことだな
でも不登校だろ?会わないと思うけど
まぁ変に繋がりが残ってしまうのか
「最後、泣きそうな顔して、追い出された」
「勝手に連れ込んだり追い出したり、どーしようもねぇ女だな」
二本目に火をつけ俺も同じように空を見る
そうか
哀しそう…か
俺も初めて泉に会った時似たようなこと言われたな。
なんだっけか
あーそう
「寂しそう…だった」