【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

ふーーと長く煙を吐き、空を仰ぐ


「拒絶されたよ」


だから、そんなに機嫌悪かったのか。
誰もが近づきたくてしょうがない烈火の総長を拒絶かー。
他の女なら喜んで手を取るだろうな


「俺なんで、あんなこと言ったんだろ」


「さー?たまに不思議ちゃんが入るからな、俺らの総長は」


「……まぁ今回の抗争に巻き込まれてないなら、もう…会わないから…。俺と杏が一緒に居るところが見られてさえいなければ、もうこの件は終わる。

そう思ってたのに」



……まさか、同じ学校でクラスまで一緒だなんてってことだな

でも不登校だろ?会わないと思うけど

まぁ変に繋がりが残ってしまうのか



「最後、泣きそうな顔して、追い出された」

「勝手に連れ込んだり追い出したり、どーしようもねぇ女だな」


二本目に火をつけ俺も同じように空を見る




そうか

哀しそう…か

俺も初めて泉に会った時似たようなこと言われたな。

なんだっけか


あーそう


「寂しそう…だった」


< 73 / 425 >

この作品をシェア

pagetop