【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
悲しい嘘
「…泉?どこから、そのスコーピオンが出てきたんですか?」
「俺はスコーピオンって言葉を聞いたんだ。今さっき。昔にも聞いたことがある気がする」
「……はぁ。私も詳しいわけではありません。今調べて思い出した程度です」
そう言って新が話し出したことで、少し俺も思い出した。
何年か前に、関西にいた暴走族のチームの名前だ。そのチームは薬や犯罪、なんでもありの、汚いチームだった。
警察も手を焼いて、ヤクザが絡んだ事件も、多くにそのスコーピオンは関わっていた。
しかし去年だったか、スコーピオンが解散したと、こっちまで噂が流れてきた。
逮捕されたのか、詳しいことは、どこにも載っていない。
そしてこの春に、いつも大目に見てくれている、仲のいい警官がボヤいていた
" 今はスコーピオンで忙しいから、お前らに構ってられない "
そうか
あの時聞いたから、頭の何処かで聞き覚えがあったんだ
「……彼女が絡んでます?」
「いや。さっき中野がまた、言ってたから。なんだか気になっただけだ」