【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
悲しい嘘


「…泉?どこから、そのスコーピオンが出てきたんですか?」

「俺はスコーピオンって言葉を聞いたんだ。今さっき。昔にも聞いたことがある気がする」

「……はぁ。私も詳しいわけではありません。今調べて思い出した程度です」


そう言って新が話し出したことで、少し俺も思い出した。


何年か前に、関西にいた暴走族のチームの名前だ。そのチームは薬や犯罪、なんでもありの、汚いチームだった。

警察も手を焼いて、ヤクザが絡んだ事件も、多くにそのスコーピオンは関わっていた。


しかし去年だったか、スコーピオンが解散したと、こっちまで噂が流れてきた。

逮捕されたのか、詳しいことは、どこにも載っていない。

そしてこの春に、いつも大目に見てくれている、仲のいい警官がボヤいていた



" 今はスコーピオンで忙しいから、お前らに構ってられない "



そうか
あの時聞いたから、頭の何処かで聞き覚えがあったんだ


「……彼女が絡んでます?」

「いや。さっき中野がまた、言ってたから。なんだか気になっただけだ」


< 93 / 425 >

この作品をシェア

pagetop