不器用な私達の恋愛は
正直、大学時代、特に6回生には二度と戻りたくない。

そんな苦い思い出があるほど、卒業試験と国家試験はエグかった。

私の同級生でも、何人も卒業できなかった。卒業できても、国家試験に受からなかった人もたくさんいる。

卒業試験に合格できなければ留年。国家試験は1年に1回なので、受からなければ浪人。

留年と軽く言っても、薬学部は学費がお高い。6年薬学部に通わせてもらえるだけで親に多大なる迷惑をかけているのに、それに留年、浪人となると、もはや親に会わせる顔がない。

そういうプレッシャーに苛まれながら、日々大学生活を送っていた。卒業試験前と国家試験前は、吐くかというくらい、勉強した。


しかし、私においては、大学は無事に卒業出来たのだが、国家試験の自己採点で、合格点より9点も足らなかった。これは浪人確定だなと、来期の予備校の申し込みをして結果発表の日を待っていた。

その間、ストレスで低血圧と貧血にもなり、体がボロボロで見てられない状態になった。

「あのときの杏菜は見てられなかった。予備校行かせてあげるから、としか言えなかった。」

と母からの後日談。そのとき、母は泣いていた。






< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop