宇宙で一番☆幸せな政略結婚

「大丈夫だよ、俺がしっかり捕まえているから。怖がらないで、いいよ」


 優しい声が女性の力を緩めてくれた。


「・・・好き・・・愛しています・・・」

 うっすらと目を開いて、女性は聖竜を見つめて言った。

「俺も愛している。・・・ねぇ、ずっと一緒にいてはダメ? 」


 そう尋ねる聖竜に、女性は何も答えなかった。

 代わりにギュッと抱き着いてくるだけだった。


 答えなくても、それはできないのだと聖竜には伝わった。


 それでも最高のエネルギーを感じた。

 このまま時が止まってしまえばいいと思えるくらいだった。


 今日会ったばかりで、名前も名乗っていない2人が1つになった。

 でも何となく前から知っているような・・・そんな気もしていた。






 
 外が少しだけ明るくなった頃。

 女性が目を覚ました。

 
「あれ? ここはどこ? 」

 起き上がって、辺りを見渡す女性。

 ふと見ると、キャミソールだけで脱いだブラウスとジャケットとスカートが椅子にかかっているのを目にして、女性は驚いた。

「なに? どうなっているの? 」

 隣を見るが、聖竜の姿はなかった。


 ジャーッとシャワーの音が聞こえて、女性は、また驚いた。

「だ、誰? 」

 肩をすくませた女性だが、とりあえず服を着なくてはと思い、椅子に掛けてある服を急いで着た。


 キュッと、シャワーを止める音がした。

 女性は慌ててバッグを持って、靴を履いて急ぎ足で部屋を出て行った。


 女性が出て行った後、聖竜がバスルームから出て来た。
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