宇宙で一番☆幸せな政略結婚
会長室。
「なんだと? それで、どうなんだ? 」
会長室で血相を変えて電話をしている竜太。
「・・・分かった。後は警察に任せよう。・・・ああ、その問題はなんとか相談してみる」
電話を切ってため息をつく竜太。
コンコン。
「失礼します」
書類を持って、聖竜がやって来た。
紺色のスーツ姿でスラッとしている聖竜。
どこから見ても爽やかなイケメンである。
「あれ? どうかしたの? 」
顔色が悪い竜太を見て、聖竜が言った。
「ああ、聖竜。ちょっと大変な事が起こってしまったんだ」
「大変な事? 」
「他支店で着服事件が発生した」
「着服? 」
「ああ、経理でおかしいと思われていて、調査した結果。着服されていた金額は総額10憶だそうだ」
「10憶? そんな大金、何に使ったんだ? 」
「どうも聞くところによると、女性に騙されて貢いでいたようだ」
「10憶になるまで、気づかなかったのか? 」
「証拠が得られなかったようだ。調査に時間がかかり、断定までの間に加算してしまったようだな」
竜太はため息をついた。
「さすがに10憶となれば、捕まった社員も返せる金額ではない。騙した女性からも、とれない金額だと思われる」
「どうするの? 10憶なんて、かなりの金額じゃないか」
「少し考えさせてくれ。今すぐ、どうなるわけじゃないが。ちょっと、相談してみる」
突然の10憶の負債。
さすがに財閥と呼ばれる杉森グループでも、かなりの負債になる。
取り返すことは不可能に近い。
1つ支店を潰したくらいでは補えない金額である。
着服した社員は捕まった。
しかしとても返せる金額ではない。
騙した女性の家からは300万円戻って来たが、とても足らない。
捕まった社員の家は両親は既に死亡していて兄弟もいない、貯金もない状態で、一銭も取る事は出来なかった。
困り果てた竜太は、昔からの親友に相談した。
お互い忙しく、なかなか会う事ができないが、電話連絡やメール交換は欠かしていなかった親友。