宇宙で一番☆幸せな政略結婚

「オバサン達って、随分と人の悪口好きなんだな? 」

 驚いて、あるとが振り向くと。

 いない筈の聖竜が現れた。


 お手伝い達もびっくりしている。



「坊ちゃん、お仕事ではなかったのですか? 」

「あ? 悪いな、たまたま早く終わって帰ってたんだよ。ゆっくり休もうと思って、帰ったら。ババアの悪口会議聞かされて、疲れ倍増したじゃねぇかよ! 」

「そ、そんな私達悪口なんて」

「そんな事言っていませんよ」


「あ? 悪いが、俺の耳は衰えてねぇんだよ。しっかり聞いたぜ、お前らが俺の大切な奥さんの悪口を言ってるのをな! 」


 お手伝い達は顔を見合わせて、返す言葉が見つからなかった。


「言っておくが、お前らの方がずーっとババアだろ? いい年して、人の悪口ばかり言ってるお前らの方がよっぽど醜いだろう! 俺の大切な奥さんが、年上だろうと何だろうと、そんなもん関係ねぇんだよ! 俺が愛しているんだ、お前らにとやかく言われる筋合いはねぇ! 」


 本気で怒っている聖竜。

 お手伝い達は、恥ずかしそう俯いている。


「いいか? 二度と、俺の奥さんの悪口は許さねぇからな! 今度聞いたら、お前ら全員クビにしてやる! 」


 それだけ言うと、聖竜は去って行った。


 お手伝い達は、聖竜がこれほど怒るとは驚くばかりだった。



 離れた場所で聞いていたあるとは、なんだか嬉しくなった。

 お金で買われて来たと思っているのに、どうして私なんかの為に、怒ってくれるのだろう? 


 結婚してから、ろくに会話もないし、殆ど朝少しだけ一緒にご飯を食べるくらいで。

 お互いにまともに話したこともないのに。

(俺が愛しているんだ)

 そう言った聖竜。


 咄嗟に出た嘘だとしても、あるとはとても嬉しかった。
< 22 / 61 >

この作品をシェア

pagetop