宇宙で一番☆幸せな政略結婚
「オバサン達って、随分と人の悪口好きなんだな? 」
驚いて、あるとが振り向くと。
いない筈の聖竜が現れた。
お手伝い達もびっくりしている。
「坊ちゃん、お仕事ではなかったのですか? 」
「あ? 悪いな、たまたま早く終わって帰ってたんだよ。ゆっくり休もうと思って、帰ったら。ババアの悪口会議聞かされて、疲れ倍増したじゃねぇかよ! 」
「そ、そんな私達悪口なんて」
「そんな事言っていませんよ」
「あ? 悪いが、俺の耳は衰えてねぇんだよ。しっかり聞いたぜ、お前らが俺の大切な奥さんの悪口を言ってるのをな! 」
お手伝い達は顔を見合わせて、返す言葉が見つからなかった。
「言っておくが、お前らの方がずーっとババアだろ? いい年して、人の悪口ばかり言ってるお前らの方がよっぽど醜いだろう! 俺の大切な奥さんが、年上だろうと何だろうと、そんなもん関係ねぇんだよ! 俺が愛しているんだ、お前らにとやかく言われる筋合いはねぇ! 」
本気で怒っている聖竜。
お手伝い達は、恥ずかしそう俯いている。
「いいか? 二度と、俺の奥さんの悪口は許さねぇからな! 今度聞いたら、お前ら全員クビにしてやる! 」
それだけ言うと、聖竜は去って行った。
お手伝い達は、聖竜がこれほど怒るとは驚くばかりだった。
離れた場所で聞いていたあるとは、なんだか嬉しくなった。
お金で買われて来たと思っているのに、どうして私なんかの為に、怒ってくれるのだろう?
結婚してから、ろくに会話もないし、殆ど朝少しだけ一緒にご飯を食べるくらいで。
お互いにまともに話したこともないのに。
(俺が愛しているんだ)
そう言った聖竜。
咄嗟に出た嘘だとしても、あるとはとても嬉しかった。