宇宙で一番☆幸せな政略結婚

 確かに言われる通り、年上だし、もう33歳なのも本当だ。


 聖竜はまだ28歳。

 もっと若くて綺麗な人は、沢山いるのも事実だ。

 私なんか、お金がなければ見てももらえなかったから。



 そう思いながら、あるとが歩いてくると。


 階段の下に聖竜がいた。

 ハッとして、あるとは立ち止まった。


 聖竜はちょっと冷めたような目で、あるとを見た。


 あるとは何となく俯いた。


 あるとが俯いていると、何も言わずに聖竜は、あるとが持っている荷物を持ってくれた。

「俺が持っていくから」

 それだけ言うと、先に階段を登って玄関に行ってしまう聖竜。

 その後を、あるとも追いかけた。




 食卓に荷物を置くと、聖竜はネクタイを緩めた。


「あの・・・すみませんでした、荷物を持ってもらって・・・」

「このくらい、なんで気にするんだ? 重い荷物を持つのは、男の役目だろう? 」

「そうですが、疲れているのに・・・」


 俯いてしまうあると。

 そんなあるとの頭を、聖竜はそっと撫でた。

「お前だって疲れているだろう? 家事だって、立派な労働だ。お互い様じゃないか」


 何でそんなに優しいの? 

 あるとの胸がキュンと鳴ったのを感じた。


「それから、お前はいつまで俺に敬語を使い続けるつもりだ? 」

「あ、はい。すみません、ずっと癖で・・・」

「家でも、そうだったのか? 」

「はい・・・母が・・・厳しかったので・・・」


 ギュッと口元を引き締めるあるとを見て、聖竜の胸がチクリと痛んだ。


「俺に気を使う事はない。俺は、お前の夫だ。上司でもないし、敬語を使われるような立場の人間じゃない」

「はい・・・」


 
 聖竜は買い物袋を見た。

 中にはミンチがは入っているのが見えた。


「今夜はハンバーグか? 」

「はい、作ってみようと思って・・・」


 ふと見ると、食卓の上には料理本が置いてあった。
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