宇宙で一番☆幸せな政略結婚
聖香も来て4人で食事をすることになった。
結婚式のお祝い以来、一緒に食事をしたことはなかった竜太と聖香。
「このハンバーグ、とってもおいしいわね」
「ああ、サラダも新鮮で美味しい」
「手作りって、なんだかホッとさせられるわ」
「それに、大勢で食べるのも美味しいな」
竜太も聖香もとても嬉しそうに食べてくれる。
そんな2人を見ていると、あるとはとても嬉しい気持ちになった。
これが一家団欒のひと時なのだろう。
あるとは今まで体験した事がなかったことに、何となく胸の奥から湧いてくる喜びを感じていた。
食事も済んで。
後片付けが終わって、あるとがリビングに戻ってくると。
ノートパソコンを広げている聖竜がいた。
仕事でもしているのだろうかと、あるとは思った。
「ねぇ、遠出しても平気か? 」
「え? 」
「明後日だが、仕事が休める。天気も良い予報だ。ちょっと、遠出してみないか? 」
出かけるの? 私と?
嬉しい思いも込みあがって来たが、あるとは素直に喜べなかった。
なんとなく喜んではいけない、と思い込んでしまったのだ。
「・・・ごめんなさい。遠出は、苦手なんです。・・・」
そう答えるあるとが、どこか何かに怯えているような目をしているのを聖竜は感じた。
「遠出が嫌なら、近場ならいいのか? 」
「あ・・・でも・・・」
俯いてしまうあると。
「分かった。もういい・・・」
パソコンを閉じて、聖竜は書斎へ行ってしまった。
ごめんなさい・・・。
あるとは心の中で謝っていた。
出かけるのが嫌なわけじゃない。
誘ってくれたのはとても嬉しかった。
だけど・・・深入りしちゃいけないと思ってしまう。
幸せになってはいけないって、どこかでブレーキをかけられるような気がして。
あるとは辛くなった。