宇宙で一番☆幸せな政略結婚
「お前が俺の事嫌いでも。俺は、お前の事を愛しているから。・・・一緒にいたいんだ」
あるとは黙ったまま何も答えなかった。
「ごめん。・・・仕事ばかりで、結婚してもずっとお前の事放置しているよな俺。それで、お前の事ずっと傷つけているって思っている。本当にごめん」
「そんな事・・・ないです・・・」
「仕事は、もう少しで落ち着く。今日みたいに、一緒にご飯作ったり、買い物したり、一緒に何かをする時間だってとれるようになるから」
「そんなに気を使わないで下さい。・・・私、大丈夫ですから・・・」
「お前が大丈夫でも、俺が大丈夫じゃない! お前がちゃんと、俺の事受け入れてくれないと。俺は・・・生きてゆけない・・・」
聖竜の声が上ずっている・・・。
ギュッと抱きしめてくれる聖竜の腕の中が、あるとにとって心地よく感じてきた。
この感覚どこかで覚えがある。
思いだせないけど・・・どこかで・・・。
そう思い、あるとはギュッと聖竜にしがみついた。
「ごめんなさい。・・・私・・・ずっと、暴力を受けていて。・・・人と関わるのが、怖くて・・・。避けていたのは、私の方だと思います・・・」
震える声で、あるとが言った。
「そんな酷い事されていたのか? それなのに、俺と結婚してくれたのか? 」
「父の願いでしたので。大切な親友が困っているから、助けて欲しいって言われたのです。・・・きっと私、一生結婚なんてできないと思って・・・」
「お前のように美人な人、誰がほっとくんだよ」
「・・・そんな事、言われたことありません」
「それは、周りが見る目がないからだ。だが、そのせいで俺はとってもラッキーだったな」
「え? 」
あるとは顔を上げて、聖竜を見た。
目と目が合うと、聖竜はそっと微笑んでくれた。