宇宙で一番☆幸せな政略結婚

 あれから「大好きな人」からの電話は少し減っていた。

 お互い結婚しているんだから、そうそう続かないだろう。

 結婚して2ヶ月。

 もしかしたら「大好きな人」は、家族が増えているかもしれないなぁ・・・。

 そんな事を考えていたあると。



「ふーっ・・・」

 家事を一通り終えて、あるとはリビングで一息ついた。

 なんだか熱っぽくて、体のだるさを感じたあると。



「あるとちゃん、いる? 」

 聖香がやって来た。


「あら、あるとちゃんどうしたの? 具合でも悪いの? 顔色悪いわよ」

「すみません、ちょっと疲れてしまったようで」

「まぁ大丈夫? 最近寒くなってきたから、風邪かしら? あ、これもらったの。一緒に食べましょう」

 聖香がりんごを剥いて持って来てくれた。

「美味しそうなりんごですね。頂きます」


 聖香とあるとは、一緒にりんごを食べ始めた。

 りんごを一口食べたあると。

 すると、急に吐き気が襲ってきた。

「どうしたの? あるとちゃん」

「すみません・・・」


 口を押えたまま、あるとは洗面所へ向かった。

 吐き気は治まったものの、なんだか胃の辺りがムカムカしていた。


「あるとちゃん、大丈夫? 」

 心配して聖香が来てくれた。


「大丈夫です。何か、食べ過ぎてしまったようで・・・」

 胃の辺りを押さえているあるとを見て、聖香はもしや? と目を開いた。

「あるとちゃん、病院行った方が良いわよ」

「大丈夫ですよ、少し寝たら治りますから」

「ううん、絶対病院行くべきよ」

「え・・・」


 聖香はそっと、あるとのお腹に触れた。
< 39 / 61 >

この作品をシェア

pagetop