宇宙で一番☆幸せな政略結婚
朝ご飯の支度をして、一応、聖竜の分も用意していたが帰って来なかった。
電話もしてこない・・・。
何かあったのだろうか?
だとしても、竜太や聖香のところに連絡が入るはずだ。
家事を終えて、一息つくあると。
無断で外泊されるほど、私は距離を置かれているのだろうと、あるとは思っていた。
気持ちが近づけたと思っていたけど、しょせんはお金でしか繋がっていなかった。
聖竜の優しさは、きっとご機嫌取りだったのかもしれない。
あるとはお腹にそっと触れた。
「こんな私でもいいの? 選んで来てくれたんだよね? 」
お腹に触れて、あるとは嬉しそうに微笑んだ。
しばらくして。
あるとは役所にやって来た。
役所にやって来たあるとは、離婚届をもらった。
そして役所を出たあるとは、宗一郎に電話かけた。
「あ、お父さん」
(どうしたんだ? あると。何かあったのか? )
「ううん、何でもない。ねぇお父さん、杉森さんに貸したお金なんだけど。もう、返済してもらわなくていいと思うのだけど」
(・・・)
宗一郎は黙っていた。
「私と杉森さんは家族になったの。・・・私の貯金だって、そんなになかったけど。・・・家族から、返済してもらうなんて・・・何か変だと思って・・・。だから、私がこれから働いて、お父さんに返すからもう、杉森さんからは返済してもらわないでくれるかな? 」
(その件なら、少し考えさせてもらえるか? 動かしたお金は、かなりの大金だからね。すぐに返事はできないよ)
「そうよね、分かった」
(お前はお金の事は考えなくていい。自分が幸せになる事だけを、考えればいい)
「ありがとう、お父さん」
電話を切って、あるとは一息ついて歩き出した。