宇宙で一番☆幸せな政略結婚
9章
家に戻ったあるとは、もらってきた離婚届に自分の分だけサインした。
「これでいいから・・・。もう、自由になってね・・・」
サインした離婚届を鞄に閉まったあると。
その日の夜。
20時を回る頃に、やっと聖竜は帰宅した。
「ごめん、連絡入れれなくて」
そう言う聖竜に、あるとは小さく笑った。
「お仕事、大変なんですね。大丈夫ですよ」
作り笑いにも似たあるとの笑いに、聖竜は何かを感じた。
「夕飯作ってあります。まだでしたら、食べて下さい。・・・私、先にお風呂に入りますね。今日は疲れたので、このまま寝ますから・・・」
聖竜と目を合わせないように、あるとは去って行った。
なんとなく胸騒ぎを感じた聖竜。
その後、あるとは入浴を済ませてそのまま寝てしまった。
聖竜はまだ仕事が残っていた為、入浴を済ませてからも遅くまで書斎にこもっていた。
そんな聖竜が、携帯電話を見つめていた。
発信ボタンを押そうか、どうしようか迷っている聖竜。
時計を見ると23時を回っている。
「明日にしよう・・・」
そのまま携帯電話をしまって、聖竜は仕事の続きを始めた。
その晩は何も話さないまま過ぎて行った。
それから数日過ぎて。
あれから聖竜とあるとは、またすれ違いの生活が続いていた。
聖竜が出張が多く、早朝に出てゆくため、あるとが寝ている間に出て行ってしまうからだ。
帰りも深夜を回る事が多く、殆ど顔を合わせる事もなかった。