宇宙で一番☆幸せな政略結婚

 あるとは聖竜に、離婚を切り出そうと話せる時間が作れないか待っているが、なかなかタイミングが取れなかった。


 
 その間、あるとは病院で出産の手続きをしていた。

 産む決意をして出産予約をしたあると。

 産むときはもう、杉森じゃないけど、その事は追々話してゆけばいいと思った。


 赤ちゃんは順調に育っていた。

 10週目に入り、予定日も来年の4月末位いと診断された。

 悪阻はなく、胃のムカムカだけで食欲も減っていないあると。 

 ただ、疲れやすくて眠気が襲ってくる事が多く、良く寝てしまう事が多い。

 夜も早めに寝てしまう為、聖竜が帰って来るまで起きていられなかった。


 母子手帳には診察記録も記入されてゆく。

 まだ3ヶ月ちょっと、産まれるまではあと7ヵ月ほどある。



 「大好きな人」からはパッタリ電話がかってこなくなった。

 きっと家族が増えて、幸せにやっているのだろう。

 これでいいんだと、あるとは思っていた。




 なかなか聖竜と時間があわなくて、どうしようと迷っていたあるとだが、やっと聖竜が早く帰ってきてくれた。

 だが20時の帰宅。

 そこから夕食を食べて、お風呂に入って、また書斎で仕事をする聖竜。


 今日はどうしても時間を作ってもらう話をしなくては。

 そう思ったあるとは、聖竜がいる書斎へと向かった。



 書斎のドアの前に立つと、中からはキーボードの音だけが聞こえてきた。

 一度呼吸を整えて、あるとはノックした。


 ノックの音にキーボードの音が止まった。

 ドアを開けて出て来た聖竜は、少し驚いた顔をしていた。

「どうかしたのか? 」

 尋ねられ、あるとは深呼吸した。

「お仕事中にごめんなさい。どうしても、お話しがありますので、時間を作って頂けませんか? 明日でいいので」

「話しなら、今でもいいけど? 」

「でも、お仕事中ですよね? 」

「そうだけど、キリがついたから」


 そっか。

 今日話してもいいかな、明日の早朝に出てゆけばいいし。


「それなら、今、お願いします・・・」


 あるとは先にリビングに戻った。
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