宇宙で一番☆幸せな政略結婚
リビングに戻る途中、あるとは自分の部屋に寄って鞄を持ってきた。
そこには離婚届が入っている。
先にリビング戻ったあるとは、少し緊張した面持ちで聖竜を待っていた。
足音が近づいて、聖竜がやって来た。
「話しってなんだ? 」
あるとの向かい側に座る聖竜。
あるとは一呼吸ついて、聖竜に離婚届を広げて出した。
記入済の離婚届を見て、聖竜は暫く黙って見つめていた。
あるとは聖竜の答えを待った。
しばらく沈黙が続いた。
聖竜が一息ついた。
「確認するが、これはお前の本心なのか? 」
そう尋ねられ、あるとはこくりと頷いた。
「はい。・・・父が、貴方のお父様に融資したお金は。もうお返しして頂かなくて結構です。私から切り出した離婚です。本来なら、私が貴方に慰謝料を支払う義務があります。なので慰謝料の代わりです」
「離婚する理由は? 」
「はい・・・。私のわがままなので・・・ごめんなさい・・・」
離婚届をテーブルに置いた聖竜の目が、潤んできた。
「俺と離婚したら、お前は幸せになれるのか? 」
そう尋ねる聖竜の声が上ずっていた。
あるとはどう答えればいいのか笑からず、俯いて黙っていた。
「俺と別々の道を歩く事が、お前の本当の幸せになるなら。喜んで、応じる。だが・・・もし・・・。何かを1人で背負うために、俺と離婚すると決めたなら。俺は絶対に応じない」
何を言っているの?
あるとは驚いた。
まるで、あるとの気持ちを見抜いているかのような聖竜。
ずっとすれ違っているのに、どうしてそんなこと言うの?
アルトの胸がキュッと痛くなった。