宇宙で一番☆幸せな政略結婚

「あのさ。・・・ずっと聞きたかったことだけど。お前、俺にお金で買われてきたって思っているんだろう? 」

「そ、それは・・・」

 図星を指されて、あるとは何も言えなかった。


「確かに形だけ見ていれば、俺達の結婚は明らかに政略結婚だ。お前が結婚してくれたおかげで、会社は助かった。感謝している。本当に・・・」

 あるとは小さく頷いた。

「だが、もしその事がお前をずっと苦しめているのなら。俺は・・・すぐにでも、その苦しみから解放したいと思った。だから・・・」


 聖竜は一枚の紙をあるとに差し出して見せた。


 その紙は完済証明であった。

 内容によると、雪森宗一郎が融資した50憶は全て完済され事になっている。

 日付は昨日付けだった。


 どうゆう事?

 あるとは茫然と、聖竜を見つめた。

 
 目と目が合うと、聖竜はそっと微笑んでくれた。

 少し疲れた顔はしているが、とても優しい笑みを向けてくれる聖竜。

 その笑顔を見ると・・・あるとはどこかで同じ笑顔を見たような気がした。


「久しぶりだな、ちゃんと俺の顔を見てくれたの」

 そう言われると、あるとは照れて視線を落とした。

「お前と結婚する代わりに、父さんが結納金として受け取った50憶は。俺が全て返した」

「・・・どうやって? そんな大金・・・」

「持っている大金になりそうな物を、全て売ったよ。そして、仕事も単価を高額にしてもらって請け負った。その為に、帰りが遅くなってしまって、帰れなくなって事もあった。お前とずっとすれ違ってばかりで、ごめんっていつも謝っていたよ。・・・」

 
 どうゆう事?
 いつも帰りが遅かったのは、お金の為に働いていたからなの?

 あるとの目が揺れていた。


「どうして? そこまで・・・」

「そんな事決まっている。お前と、一緒に幸せになりたかったからだよ」

「そんな・・・私なんて・・・」


 思いが込みあがり、あるとは涙が溢れてきた。


 一緒に幸せになりたいなんて・・・

 そんなふうに思われていたなんて知らなくて・・・。
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