宇宙で一番☆幸せな政略結婚

「50憶と言うお金が、俺とお前の間を遮るなら。それを消してしまえばいいって思った。その為には、どんなことでもする気で、車を手放しても、ブランドの時計を手放しても、睡眠時間がなくても。その先に、俺が本当に、望んでいるものがあるなら構わないと思った。短期間で稼げないと思っていたが、案外と協力者がいたから。高額な仕事も紹介してもらって。この2ヶ月でやっと10憶用意できた。だから、お前のお父さんに残りの40憶と合わせて全額返金したよ」

 
 あるとは何も言えなくなった。


「・・・ごめんなさい・・・私・・・」


 本当の事言わなくちゃ。

 この人からこんな素直な気持ち聞いているのに、私だけ隠し事なんてできない。

 本当の事言って、許されなくてもいいから。

 ちゃんと言わなくちゃ・・・。

 そう思っていても、上手く言葉が出てこないあると。


 すると・・・


 バサッ・・・。

 ソファーの上に置いていた、アルトの鞄が床に落ちてしまった。


「あ、落ちた」

 鞄の中の物が床に散らかってしまい、聖竜が拾った。

 と・・・

「ん? 」

 鞄の中に入っていた母子手帳が、床に落ちていた。


 聖竜は母子手帳を手にとって驚いた。


「お前、子供できたのか? 」

 驚いた顔をしてアルトを見た聖竜。


「あ・・・あの・・・。ごめんなさい・・・」

「なに謝っているんだ? 」

「だって・・・貴方の子供じゃないから・・・」

「はぁ? 」


 聖竜は母子手帳の中を見た。

 現在10週目の記載がある。

 そして母子手帳にはエコー写真も。


 そのエコー写真を見ると、聖竜の目から涙が溢れた。

「何言っているんだよ。俺の子供じゃん」

「どうして? だって私、貴方と・・・」

「10週目なら・・・あの時の子供だよ・・・」


 何を言っているの? と、あるとは驚いていた。
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