宇宙で一番☆幸せな政略結婚
顔も名前も知らない人だと思っていたけど。
実はよく知っている人だった。
そして・・・結婚相手だった・・・。
来てくれた赤ちゃんは、きっと、絆を結んでくれたのだろう。
あるとはそう思った。
「実はさ、結婚してからも。お前のお父さんとは、よく連絡とっていたんだ」
「そうだったの? 」
「ああ。なんとなくだが、結婚を申し込まれた時。結婚式まで会わない、写真も見せないって条件がつけられた時。何か深い事情があるんじゃないかって、感じていた。あんな大金を積んでまで、自分の娘を結婚させたいくらいだ。きっとそこには、深い愛があるんじゃないかな? って思ったから。結婚を決めたんだ」
「・・・私・・・お金がなければ、きっと断られていたって思っていました・・・」
聖竜はテーブルの上の離婚届けを手に取った。
「断るわけねぇじゃん」
ビリっと、用紙をやぶいてごみ箱にすてると、聖竜はあるとに振り向いて優しく微笑んだ。
「俺にとっては、宇宙で一番の最高の女だよ。あの夜、居酒屋で見た瞬間。俺のハートがキュンと鳴ったのを覚えている。今まで感じたことなかったよ、こんな感じ」
あるとに歩み寄り、聖竜はそっと手を取った。
「あの時、悲しそうなお前の目を見て。笑顔になって欲しいって、本気で思えたんだ。もうその瞬間から、俺はきっとお前に恋していた。人を愛するって、こんなにも心が暖かくて幸せなんだって感じた。あの夜は、最高の夜だったよ」
熱い目で見つめられ、あるとはなんだか恥ずかしくなってしまい、視線を落とした。
「すみません私、お酒が入っていて。行動が・・・その・・・大胆になってしまっていました。・・・貴方と話していて、とっても心が軽くなって。なんとなく、この人と結婚したいって思えてきて。でも、もう結婚が決まっていて。その相手とは関係は持たないって、決めていたから。・・・一度でいいから・・・そう思って・・・」
「そっか・・・」