たったひとこと
「ごめんねぇ、どこか行く途中だったんじゃない?」

ここはモデル風の女性のマンションらしい。

手当てを受ける陽菜。

手当てをする女性。

どうにもうまく巻けない包帯。

「もう〜、どうしてぇ?ちょっと!慎吾?」

“慎吾さん”を呼ぶ女性。

「あのっ、包帯なんて大げさですから…えっと…名前聞いていいですか?」

陽菜が言う。

「あっ、まだだったっけ?私は水無瀬 遥華。で、あっちは五十嵐 慎吾。」

遥華が指差した先で、慎吾が笑顔で軽く頭を下げた。

「あなたは?」

遥華がたずねる。

「あっ、及川 陽菜です。」

「陽菜ちゃんね、ちょっと、慎吾!だからこれやってよ。」

慎吾は陽菜の元にやってきて、器用に包帯を巻いた。

「すみません…」

陽菜が言うと、

「いえ、こっちが悪いですから。」

慎吾は笑顔で言う。

陽菜が見る限り、大量の荷物は遥華の買った物のようで、慎吾は…荷物持ち。

「あの…お二人は…」

陽菜が言うと、

「幼なじみ!幼稚園からこの歳までずっと一緒!あっ、歳は27。同い年よ。」

遥華が答えた。
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