たったひとこと
「ご機嫌だね。何かいいことあった?…って聞いてほしいんでしょ?」


陽菜が言う。

「別に?」

「そう。」

「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

「…勝ったんだ〜今日の試合。」

「聞いてませんけど。」

「見せたかったなぁ〜俺の活躍!」

竜之介はバットを振るジェスチャーをした後、遠くに飛んでいったボールをまぶしそうに眺める様子を再現して見せた。

「帰れって言ったのは誰よ…」

陽菜は呆れて言う。

「せめて俺の打席、見届けていくくらいしてもよかったのに〜」

竜之介はかなり、浮かれていた。
< 43 / 59 >

この作品をシェア

pagetop