たったひとこと
「すっかり忘れてたの!テストの事。」

陽菜は問題集とノートを広げながら直希に話し掛ける。

「真っ白だな…やる気出せよ。」

直希が呆れるほど、陽菜のテスト勉強は進んでいなかった。

「はいはい、教えてくれるんでしょ?」

陽菜は突っかからないよう心がけて、会話をする。

もともと勉強はできる方の2人は、順調にテスト勉強をこなした。

「直ちゃん…休憩しないの?」

陽菜の弟、舜がやってきて顔をのぞかせる。
舜は誰でも‘ちゃん’付けで呼ぶ。直希の事は‘直ちゃん’。

「あぁ、そうだな、休憩するか。」

直希は陽菜に言う。

「そうだね。」

陽菜も同意する。

すると部屋に入ってきた舜の手にはサッカーボール。

「やるか?」

「やる!!」

直希と舜は庭へと出て行った。

1人になった陽菜は伸びをしながら窓の外に目をやる。
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