たったひとこと
「直希君は?」

少ししてやってきた竜之介が陽菜にたずねる。

「休憩中〜庭で舜とサッカー。」

「ふぅ〜ん。」

そう言うと竜之介は持ってきた問題集を広げた。

「もう勉強始めるの?」

「勉強しないで何すんだよ。」

「いや…真面目だなって思って。」

陽菜が感心する。

「陽菜ちゃん、昨日はどうせ、なにもしてないんでしょ?休憩してる暇あるわけ?」

竜之介が言う。

「……、竜ちゃんも直希もわかってるね〜私のこと。してませんよ、昨日は何も!忘れてましたよ、テストの事!」


やけ気味に陽菜が言う。

「それより、怪我…大丈夫なわけ?」

竜之介が話を変える。

「大丈夫。ほんと、たいしたことないんだってば!」

陽菜が言う。

「ほんと、たいしたことなさそうだけど、聞いてみただけだよ…社交辞令って奴?」

竜之介が問題集に視線を向けたまま言う。

「それはどうも…」

陽菜はテスト勉強を再開した。
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