たったひとこと
「じゃあ…俺はそろそろ帰るよ。」

夕方、竜之介は問題集を閉じると、伸びをした後立ち上った。

「じゃ、俺も。」

直希も立ち上がる。

「そう?」

そう言って陽菜も立ち上がる。

「なんで陽菜まで立つんだよ、おまえは座って続きをやれ。」

直希はそう言うと陽菜の部屋を出る。

再び座り込み不機嫌な表情の陽菜。

「見送らなくていいって事だよ、向かいと隣なんだから。直希君も…素直じゃないからさ。」

竜之介もそう言うと、じゃ!と左手を上げて部屋を出た。
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