君と夏と恋
君の声
蝉の声が夏の暑さを更に感じさせる。

自転車のカゴにリュックを入れると、私は勢い良くペダルをこいだ。

何気ない朝だ。

しかし、どこかいつもと違うのは、世の中は夏休みだというのに、そこそこの進学校に通っているがために、夏休みは3年生全員が夏期講習を受講しなくてはならない。と言う事だ。

確かに今年は受験生、今日こそがその夏期講習の初日で辛い日々の幕開けの日である。

どれだけ早くペダルをこいでも、生ぬるい風しか感じられなかった。

こうなれば、いち早く最寄り駅に着いて、電車の冷房に当たらなくては。

自転車をこいで、15分ほどで最寄り駅に着くのだが、たった5分で制服はもう汗が滲んでいた。

学校までは、最寄り駅から電車で40分。遠い学校を選んでしまった。これは、痛恨のミスであると私は思う。

木々をぬけ、田んぼの横も通り過ぎ、やっとの思いで最寄り駅に自転車を止める。

ギリギリセーフだ。

あと3分で電車が発車するところだった。
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