5分以内で読めるショート・ホラー集
私たちはひとまず、満足した。
しばらくはマリナが調子に乗ることも、ないだろう。
ぶり返したら、また囲んでやればいい。

VSマリナとの勝利記念に、私たちは近くのファミレスで写真を撮った。
スマホ棒の先に向かって、変顔&ピースサインだ。撮影の際は条件反射的に変顔になってしまうのが、私たちの生態だ。

その夜、自室で一人で写真を見返していると、おかしなことに気づいてしまった。

私たち以外にもう一人、知っている顔が写り込んでいるのだ。
奥の別のテーブルに、マリナがポツリと佇んでいた。

帰ったふりして、尾けてまで、こちらの様子を伺っていたのか。
気味が悪い。

加えて、もう一点気味悪いのが、彼女の「変顔」である。
私たちに合わせるように変顔をつくっているのだ。

目を見開いて、口をほげえっと開け舌を出して。

いやこれは、合わせるというより私たちをバカにしてるみたいだ。

「尾けられてるのも気づかないんだね」とでも言いたいのか。
そうやってマウントを取りたいのか。

マリナにはどうやら、また「囲い込み」が必要らしい。

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