5分以内で読めるショート・ホラー集
7 コンプレックス
コンプレックス
「お、サオリちゃん。こんちわ」
そう声をかけられた。
こんちわ、とはいっても、日も落ちかけ、夜が差し迫っていた。
声をかけてきたのは、サッカー帰りの祐希さんだ。
タオルで額の汗をぬぐうその姿は、爽やかだ。
祐希さんは、お兄ちゃんの同級生で、高3だ。
毎日塾通いしていたお兄ちゃんが必死で目指した大学に、なんなく合格した、天才だ。
塾にも入らず、部活のサッカーに明けくれている姿ばかり見かけたのにさ。
今日みたいにね。
頭も良くて、スポーティーで、ハンサムで、優しいのだ。
おまけにバイトもしていて、お金も持っていた。
最新のゲーム機を手に入れたなんて話も、お兄ちゃんから噂で聞いている。
「なんであいつは部活やバイトに励みながら、するっと合格しちゃうのかね」
なんて、お兄ちゃんは愚痴っていた。
「あの、祐希さん……。マルージギャラティカル、買ったんですよね?」
最新のゲームソフトだ。
「あのゲーム、すごい気になってて……」
質問の意図を汲んでくれた祐希さんは、彼の自室へと招待してくれた。
「お、サオリちゃん。こんちわ」
そう声をかけられた。
こんちわ、とはいっても、日も落ちかけ、夜が差し迫っていた。
声をかけてきたのは、サッカー帰りの祐希さんだ。
タオルで額の汗をぬぐうその姿は、爽やかだ。
祐希さんは、お兄ちゃんの同級生で、高3だ。
毎日塾通いしていたお兄ちゃんが必死で目指した大学に、なんなく合格した、天才だ。
塾にも入らず、部活のサッカーに明けくれている姿ばかり見かけたのにさ。
今日みたいにね。
頭も良くて、スポーティーで、ハンサムで、優しいのだ。
おまけにバイトもしていて、お金も持っていた。
最新のゲーム機を手に入れたなんて話も、お兄ちゃんから噂で聞いている。
「なんであいつは部活やバイトに励みながら、するっと合格しちゃうのかね」
なんて、お兄ちゃんは愚痴っていた。
「あの、祐希さん……。マルージギャラティカル、買ったんですよね?」
最新のゲームソフトだ。
「あのゲーム、すごい気になってて……」
質問の意図を汲んでくれた祐希さんは、彼の自室へと招待してくれた。