幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
ブルーさんは私の質問に何でも答えてくれた。
途中、私はお手洗いへと席を外す。

悪阻はないけど、妊娠で膀胱が圧迫されているのか最近、妙にトイレが近かった。

テーブルに戻るとブルーさんは立ち上がり、テラスに端の方で、誰かとスマホで話をしていた。

テーブルには新しいドリンクが二つ置かれていた。

ブルーさんが徐にテーブルの方を振り向き、私の姿を見て、足早に戻って来た。

「すいません・・・急に仕事の電話が入りまして、申し訳ありません。桜さん」

「いえ・・・このドリンクは・・・」

「私がオーダーしました。
先ほどはオレンジジュースでしたが。
私の独断でアップルジュースしました」

「ありがとうございます・・・」

「私はもっと桜さん貴方のコトが知りたいです。
貴方だって苦労人でしょ?
実は私も情報屋の仕事をするまで苦労しました」

私達は二人であれこれ二時間半ほど、話をした。

「久しぶりです。こんな風に沢山話をしたのは・・・」

私はドラゴンホテル一番人気の生クリームたっぷりのロールケーキも食した。

「私もですよ。
蒼斗さんには私と会ったコトは秘密にしてくださいね・・・」

「はい、勿論」

「では、私はこれで失礼します」

ブルーさんは短く手を振って、ロビーの自動ドアを潜って行った。



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