幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「彼女の流産は俺のせいだ・・・」

「蒼斗…そう自分を責めるなよ。今は奥さんの意識回復が先決だろ?」

自身を責める俺を湊が諭した。

「湊・・・」

「『王龍』絡みか?」

「こんな酷いコトをする連中は『王龍』しか居ない」

「蒼斗・・・」

俺は強く奥歯を噛み締めて、爪先が掌に食い込むぐらい拳を握り込んだ。

「俺に桜を護れる自信がなかったから・・・」

やっぱり、桜と結婚すべきではなかった。

こうなる未来は見えていた。

それでも、桜を側におきたかった。

「・・・自分を追い込むなよ・・・蒼斗」

「・・・湊・・・俺・・・」

「・・・『王龍』のコトは忘れて、今は奥さんの悲しみに寄り添うコトだ。湊」

「湊・・・」

湊は俺の両肩に背後から手を乗せて、泣きそうな俺を励ました。

「ありがとう、湊」

「俺は行くけど・・・一人で大丈夫か?蒼斗」

「大丈夫だ」

これ以上、忙しい湊を此処に留めておくコトは出来ない。
「そっか、じゃまた来るぜ、頑張れよ、蒼斗」

「あぁ」



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